ベーシックインカムの概要

BIとは、「政府がすべての個人に対して、生活に最低限必要な所得を無条件に同一額給付する」という政策である。なお、BIには課税されない。また、日本でBIを実施する場合、BIの受給資格として「日本に居住している」という条件は必須であろう。なぜなら、「BIを受給しながら物価の低い外国で生活する」という選択肢を排除する必要があるからである。排除しなければ、日本の経済に負の影響を与えてしまう。BIの受給資格として、「日本国籍を有する」という条件を課すべきかどうかは、私も結論は出せていない。この点は、BIを実施するにあたって、活発な議論がなされることとなるであろう。

以下に、BI導入のメリット・デメリットを箇条書きで記すことにする。デメリットも複数存在するが、BIの存在意義が大変多岐にわたることが分かるであろう。

 

メリット
生活保護における資力調査(ミーンズテスト)に伴う行政コストが無くなる。
仕事を辞めてもBI給付によって生活を送れるため、不本意な労働をしている人々が仕事を辞めることができる。それに伴い、劣悪な労働環境下で働く労働者に支えられてきた、いわゆるブラック企業が淘汰されていく。
企業側も社員の生活のための無理な雇用継続をする必要がなくなる(この点は社員にとってはデメリットとも言える)ために、企業の経営効率が良くなる。このことによって、職場環境や雇用環境が向上し、周りの労働者にも便益が生じる。
無職の状態でも、無理をして低賃金で労働せず、新たな事業に向けて思考する時間をとることにより、人生の選択肢を広げる。また、求職活動に時間とお金が割けるようになる。
学生が、生活していくため或いは小遣い稼ぎのためにアルバイトにあてている時間を学問・研究に回すことにより日本の学生の質を上げる。(給付金が娯楽やコンパ等の費用に消えていく可能性も大いにあるが、やむを得ないことであるし、学生の間は社会に出る前の準備期間ゆえ、学生には様々なライフスタイルの選択肢があってよい。)
食料を買うお金が無いからと言って、刑務所での食事を求めてやむを得ず犯す、「食べていくための犯罪」を抑止できる。
BIを乳幼児にまで支給することにより、少子化対策を兼ねる。
生活苦による自殺 を減らす。
ボランティア活動を活発化させる。
(今まで自分が生きることで精いっぱいだった人たちも参加できるため。)
・伝統文化の維持・発展に携わる人や携わる時間が増え、維持・発展が行いやすくなる。
・家事や在宅介護が活発になる。家族と接する時間が増える。
・人間の労働に代わる機械の製造が促進される。
生活保護のように、生活水準が著しく低下してから人々を救う「救貧」のみならず、「防貧」の側面がある。

 

デメリット
会社が社員を解雇しやすくなる。
ベーシック・インカムがあるぶんだけ、会社が給料を下げる。
・労働意欲が減退する可能性がある。